雪の街だより 高田在住の弁護士馬場秀幸のブログです

11月5日 お客さんの涙

2021.11.05

 今日はお客さんに涙を流されてしまった。いや、私は何も説教していない。ただ聞いていたら、お客さんのほうから涙を流してきたのである。
 子が高校を卒業して地元を離れて、家ではいつも夫と二人きり。元々夫婦仲はよくなかった。夫は家のことを全然しない。今までは子がいたから何とか心の平穏を保てることができた。しかし、今は二人きり。何を話したらいいのかわからない。相手も自分に何かいうわけでもない。ただ、外出しようとすると、どこに行くんだ?誰と会うんだ、などと口うるさくなる。そんな束縛される生活にもう疲れた、と。
 ふと、人間はどういうときに泣くのだろう?と考えた。うれし泣き、もらい泣き、悔し泣き・・・。私も、同級生を仲間外れにしたことが先生にバレて体育館で土下座させられたとき泣いた。恥ずかしくて言えないが、他にもいろいろな場面で涙を流した。
 感情が高ぶって自分で制御することができないとき、人は泣く。
 この人も、もしかしたら、過去の出来事が走馬灯のようによみがえり、怒りや悲しみ、悔恨の情が次から次へと湧き出てきて制御できなくなったのだろう。人間の厳かなところを見せられた気がして背筋を思わずピンと伸ばしてしまった。

馬場秀幸  カテゴリー:その他